Japanese
English
特集 内因性調節因⼦と治療薬による体液量コントロール
序文
ホメオスタシスと内因性調節因子
Homeostasis and endogenous regulators
河原 克雅
1,2
,
錦谷 まりこ
3
KAWAHARA Katsumasa
1,2
,
NISHIKITANI Mariko
3
1北里大学名誉教授
2福島県立医科大学特任教授
3九州大学データ駆動イノベーション推進本部准教授
キーワード:
内部環境
,
ホメオスタシス
,
浮腫
,
アルドステロン
,
ASDN
,
RAAS
Keyword:
内部環境
,
ホメオスタシス
,
浮腫
,
アルドステロン
,
ASDN
,
RAAS
pp.591-597
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002213
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はじめに
今夏の猛暑で,地球温暖化を無視できる人がいなくなった。真鍋淑郎氏(2021年Nobel物理学賞受賞)が,「シミュレーションモデル解析法」を開発し,21世紀の地球温暖化を予測したのは60年前のことである1, 2)。幸いわれわれ哺乳類(恒温動物)は,外界温(外部環境の温度)が季節ごとに変化しても,体内に“温度調節された独自の生存環境(内部環境)”3)をもって日々活動している(後述)。脳・内臓の温度(深部体温)は,安静時と活動時を問わず,一定(constancy)に保たれている(注:冬眠時は体温低下),と大まかにはいえるのだが,実は,われわれの体温は自律的(一部意図的)な体温調節機構〔自律神経系,筋肉運動/エネルギー代謝,飲水行動,発汗(汗腺をもたない動物は呼吸運動)などを含む〕の働きで,小さな変動幅の範囲内で“ほぼ一定”(至適状態)に調節されている。W. B. Cannon(1871-1945,米)は,この自律的な体内調節機構(システム)の特徴を全面に出して“homeostasis(ホメオスタシス)”と名づけ4, 5),この名称で世界に広まった6~10)。

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