2．腎癌・腎盂癌：免疫チェックポイント阻害薬（抗PD-1抗体，抗PD-L1抗体，抗CTLA-4抗体）

Immune checkpoint inhibitors：monoclonal antibodies against PD-1, PD-L1, and CTLA-4

1　はじめに

　近年，癌細胞による免疫逃避機構に免疫チェックポイント分子と呼ばれる蛋白が関与していることが明らかとなり，癌薬物療法の新たな標的として注目を集めている。免疫チェックポイント分子は，細胞性免疫の中核を担うT細胞の表面に発現し，リガンドと結合することで過剰な免疫反応を抑制し，T細胞の活性化と抑制のバランスを維持している^1,2）。このように免疫チェックポイント分子は，生体内の免疫応答の恒常性維持や自己免疫反応の抑制に不可欠な分子群である。しかし，近年の研究により，癌細胞がこれらの分子を利用して免疫機構から逃避し，増殖することが示されている。