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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
57.精神・神経疾患:抗うつ薬・抗不安薬
Antidepressants and anxiolytics for patients with CKD
竹田 徹朗
1
Takeda Tetsuro
1
1獨協医科大学埼玉医療センター腎臓内科
キーワード:
PHQ-9
,
SSRI
,
ベンゾジアゼピン系薬剤
Keyword:
PHQ-9
,
SSRI
,
ベンゾジアゼピン系薬剤
pp.437-440
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002175
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1 はじめに
末期腎不全(end-stage kidney disease:ESKD)でよくみられる精神疾患には,不安障害(全般性不安障害やパニック障害など),うつ病性障害(単極性うつ病や持続性抑うつ障害など),神経認知障害(せん妄や認知症など),物質関連障害(アルコール依存症など)がある1)。70人の透析患者(平均年齢53歳)を対象とした前向き研究において,精神疾患の有病率は71%であった2)。また,透析患者において不安障害と臨床的に有意な症状は一般人よりも高い約20~45%にみられ,単極性うつ病を含むうつ病症候群の時点有病率は約25%と報告されている。透析患者は日常生活の制限,喪失体験,死と直面するストレスなどからうつ病をはじめとする精神障害を有することが多く,精神疾患の合併は,透析の遵守率の低下,入院率の増加,自殺率の増加,および全死亡率の増加と関連している。慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)とESKDに特化したデータベースを使用し,透析開始後1年以内に入院した患者を,精神疾患または非精神疾患で分類した後ろ向き研究(平均追跡期間約3年)によると,精神疾患を有する患者における全死亡率は対照群に比べて約30%高かった(ハザード比1.29,95%CI 1.26-1.32)3)。

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