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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
8.CKD-MBD治療薬:高リン血症治療薬;カルシウム製剤
Calcium preparation
谷口 正智
1
Taniguchi Masatomo
1
1福岡腎臓内科クリニック
キーワード:
CKD-MBD
,
血管石灰化
,
カルシミメティクス(calcimimetics)
Keyword:
CKD-MBD
,
血管石灰化
,
カルシミメティクス(calcimimetics)
pp.167-172
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002126
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1 はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に伴う骨ミネラル代謝異常(mineral bone disorder:MBD;CKD-MBD)における高リン血症治療薬の歴史を振り返ると,透析創成期にはアルミニウム(Al)含有リン(P)低下薬が主流で,制限のないAl投与が続いた。そして,主として無処理水道水に起因すると考えられるAl中毒症(脳症)が欧米で多発し,さらに骨軟化症を主徴とするAl骨症の報告が相次いだ。その結果,1992年P低下薬としてのAl製剤の使用が禁止され,CKD患者の高リン血症の管理は困難な,臨床的に重大な課題となった。以後わが国では,Al製剤にかわってカルシウム(Ca)製剤である沈降炭酸Ca(炭酸Ca)が主流を占めることになったが,体内へのCa負荷増大が血管石灰化など心血管系合併症の重篤化に寄与していることが明らかになり,Ca製剤の危険性が指摘されはじめた。そして,2003年にはCaを含まないP結合性ポリマーである塩酸セベラマーが上市され,血管石灰化などCaに起因する有害事象の改善が報告された1,2)。以後,Ca非含有P低下薬は相次いで上市され,2009年に炭酸ランタン,2012年にビキサロマー,鉄含有P低下薬として2014年にクエン酸第二鉄,2015年にスクロオキシ水酸化鉄が登場した。

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