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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
総論
1.薬物代謝と腎臓―腎臓におけるトランスポーターを中心に
Drug metabolism in the kidney―role of transporter in the kidney
橋本 弘史
1
Hashimoto Hirofumi
1
1千葉大学大学院医学研究院薬理学
キーワード:
organic anion transporter(OAT)
,
organic cation transporter(OCT)
,
urate transporter(URAT)
,
large neutral amino acid transporter(LAT)
Keyword:
organic anion transporter(OAT)
,
organic cation transporter(OCT)
,
urate transporter(URAT)
,
large neutral amino acid transporter(LAT)
pp.2-7
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002095
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1 はじめに
疾病の治療に用いられる薬物は,投与されたすべてが標的部位に到達して期待する作用を発揮するわけではない。「吸収・代謝・分布・排泄」という薬物動態により,生体内の薬物および代謝物の濃度は時間とともに変化し,体外へと排泄される。排泄は尿中と胆汁中に大別され,主に水溶性薬物は腎臓で,脂溶性の高い薬物は肝臓で代謝および排泄されるほか,水酸化や抱合などの化学的修飾を受けることにより腎臓でも脂溶性薬物は排泄されやすくなる。このような薬物動態は,薬物の特性,剤形,投与法の影響を受けるほかにも,薬物トランスポーター機能および代謝酵素活性の個人差,併用薬物,年齢や臓器障害などの影響を受ける。薬物トランスポーターは複数の薬物に親和性があるため,薬物を併用する場合,トランスポーターに対する阻害および競合反応が引き起こされ,薬物の相互作用に大きく関与することになる。肝臓と腎臓には共通のトランスポーターが存在するが(図),本稿では腎臓を中心に,トランスポーターからみた薬物代謝について概説する。

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