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特集 高血圧診療 Update
各論
さまざまな病態における血圧管理
腎疾患 ② 血液透析,腹膜透析,腎移植患者
Blood pressure control of the patients receiving renal replacement therapy
菅野 義彦
1
KANNO Yoshihiko
1
1東京医科大学腎臓内科学分野
キーワード:
家庭血圧
,
透析中低血圧
,
CKD
Keyword:
家庭血圧
,
透析中低血圧
,
CKD
pp.487-490
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001839
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はじめに
腎機能が途絶した状態では,血圧の調節機構が破綻するといってよい。そのうち最大の要素は,尿排泄を介した体液量の調整ができなくなることであろう。それ以外の血圧調節機構を最大動員して血圧を保とうとするが,それにより○腎連関という概念で関与しているほかの臓器にも負担がかかり,全身状態が悪化することになる。現在3種類の腎置換療法が可能であるが,このうち血液透析が最も血圧コントロールが困難である。腹膜透析,腎移植患者では,体液量の変動が少ないために非腎不全患者と近いコントロールが可能であるが,その目的には腎機能の維持も含まれ,比較的容易であるが重要性は高くなる。いずれの状態においても非腎不全患者ほどのエビデンスはなく,一時期は海外の高血圧ガイドラインや診療基準から腎置換療法を受けている患者に関する言及が途絶えた時期もある。しかしながら,近年あらためてコンセンサスを提示する動きがある。この間もわが国の高血圧治療ガイドライン(JSH)では言及を絶やしておらず,最新の2025年版でもわずかではあるが記載される。同版は全体をコンパクトにするための字数制限があったため,不足と思われる部分を本稿で解説する。

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