糖尿病関連腎臓病の包括的集学治療

Comprehensive management to prevent the progression of diabetic kidney disease

はじめに

　糖尿病関連腎臓病（diabetic kidney disease）は，わが国の慢性透析療法を受けている患者の原疾患の第1位であり，全患者数の約4割を占めている疾病である^1）。また，糖尿病関連腎臓病の重症化に伴い，総死亡・心血管系疾患の発症リスクが高まることがよく知られている^2）。そのため，糖尿病関連腎臓病の重症化予防対策は，単に透析患者数の減少を目指すためだけの対策ではなく，糖尿病患者の生命予後を改善させ，生活の質（QOL）を良好に維持していくための対策であるといえる。糖尿病関連腎臓病の重症化予防のためには，個々の患者背景や生活活動量に応じて，食事・運動療法によりライフスタイルを是正するとともに，必要に応じて腎保護効果が期待できる薬剤を投与することで，リスク因子を包括的に管理していく集学治療が重要となる。