Japanese
English
特集 腎疾患の診断と治療 最前線
III.各論2:全身性疾患に伴う腎障害(診断と治療)
3.ループス腎炎
Lupus nephritis
鎌田 和郎
1
,
河野 通仁
1
,
渥美 達也
1
Kamada Kazuro
1
,
Kono Michihito
1
,
Atsumi Tatsuya
1
1北海道大学病院リウマチ・腎臓内科
キーワード:
systemic lupus erythematosus
,
lupus nephritis
,
voclosporin
,
belimumab
Keyword:
systemic lupus erythematosus
,
lupus nephritis
,
voclosporin
,
belimumab
pp.169-174
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001594
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1 はじめに:「ループス腎炎」とは
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)はT細胞,B細胞などに起因する免疫異常を背景に,皮膚,腎臓,中枢神経など多彩な臓器を障害する代表的な自己免疫疾患の1つである1)。そのなかでもループス腎炎はSLEの重大な臓器病変であり,SLEの患者の生命予後にも関与している。ループス腎炎はSLE患者において抗ds-DNA抗体,抗ヌクレオソーム抗体がDNA,ヌクレオソームと免疫複合体を形成し,糸球体の内皮下や上皮下,メサンギウム領域に沈着することで生じる。免疫複合体沈着による補体の活性化を介して好中球,単球,リンパ球などの炎症細胞が浸潤し,内皮細胞やメサンギウム細胞が増殖して管内細胞増多が生じる2)。大量の免疫複合体が糸球体基底膜と糸球体内皮細胞の間に沈着することでワイヤーループ病変が形成されるほか,フィブリノイド壊死や半月体形成などの炎症性病変もしばしばみられる。ループス腎炎はかつて末期腎不全に至る予後不良な疾患だったが,免疫抑制治療の進歩によりその予後は大きく改善してきている。近年,ループス腎炎を対象とした複数のランダム化比較試験が行われ,それらの成績をもとに診療ガイドライン,レコメンデーションが国内外で作成,アップデートされている。
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