Japanese
English
カラーグラフ 臨床医のための腎生検・9
糸球体病変・9
ループス腎炎
lupus nephritis
坂口 弘
1
Hiroshi Sakaguchi
1
1慶応義塾大学医学部・病理学
pp.1638-1639
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217930
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SLEでは臨床的になんの腎症状がみられなくても,光顕,螢光,電顕で詳しくみれば糸球体にはなんらかの異常がある.光顕ではループス腎炎はほとんど変化のないものから,変化の強いものまでいろいろで,dense deposit GN以外のあらゆる型の腎炎のすべての時期の組織変化がみられる.そしてまた,後に述べるヘマトキシリン体以外,ループス腎炎と同様の組織像は他の膠原病でも頻度は少ないがみられる.したがって腎組織から"この人はSLE"である.という診断はできず,あくまでSLEと臨床的に診断されたものの腎の障害度を調べるのがSLEの腎生検の目的である.このように,症例ごとに腎生検をする時期によって組織像が少しずつ異なるので,いろいろな分類がされているが,わが国で広く使われているのはmesangial,focal,diffuse proliferative,membranousと分けたBaldwinのもので,筆者らはこれにminimal changeを加えて使っている.最近WHOでもう少し細かい分類が出された.
図1はdiffuse proliferativeのもので,HE標本で係蹄壁が赤染,肥厚しwire-loop lesionと呼ばれている.これは図2の電顕でわかるように,内皮下にdensityの高いdepositの沈着したことによるもので,このdepositはメサンギウムにも沈着している.
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