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特集 腎と微量元素―鉄・銅・亜鉛を中心に
総論
体内微量元素測定法
Instrumental Analyses of Minerals
小椋 康光
1
OGRA Yasumitsu
1
1千葉大学大学院薬学研究院
キーワード:
生体微量元素
,
原子吸光光度法
,
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)
Keyword:
生体微量元素
,
原子吸光光度法
,
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)
pp.667-672
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001524
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はじめに
筆者は,大学での講義の冒頭に学生に対して「ヒトは有機物であろうか,無機物であろうか?」と尋ねることがある。尋ねられたほうも尋ねたほうも“有機物である”と思ってはいるが,「ヒトの体の70%は無機物である水でできているのだから,無機物なのでは」と話を続ける。そういわれて,“いやいや,それはおかしいでしょ”となり,今一度,ヒトが有機物である理由を考えてみることになる。ヒトがヒトとして存在するためには,動いたり,考えたり,コミュニケーションをとったりなど,ヒトとしての活動が必要である。これらの活動の原動力は,ミクロな目でみると生体内化学反応の集積であり,その生体内化学反応のほとんどが有機化学反応なのだから,体そのものはさることながら,やはりヒトは有機物ということでよいのでは,ということになる。そして,生命機能の本質は制御・統制のとれた有機化学反応の集積であり,それら有機化学反応を正確な制御・統制のもとに進行させるためには,酵素が必要であり,酵素に機能をもたせるために金属をはじめとした無機元素が利用されているのである,と話をつなげている。
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