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特集 病理からせまる腎疾患の病因・病態解明
総論
尿細管間質病変 尿細管間質性腎炎からの鑑別診断・病理診断
Differential and pathological diagnosis from tubulointerstitial nephritis
冨永 健太
1,2
TOMINAGA Kenta
1,2
1自衛隊中央病院腎臓内科
2日本医科大学解析人体病理学
キーワード:
尿細管間質性腎炎
,
炎症細胞
,
免疫チェックポイント阻害薬
Keyword:
尿細管間質性腎炎
,
炎症細胞
,
免疫チェックポイント阻害薬
pp.356-361
発行日 2024年9月25日
Published Date 2024/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001454
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Ⅰ 用語と概要
尿細管間質性腎炎は,主に尿細管間質の炎症を主体とする腎病変の総称である。以前は間質性腎炎と呼ばれ,糸球体に病変がみられず,細菌感染のみで説明が困難な腎間質への炎症細胞浸潤であると定義されている。しかしながら,間質性腎炎は多様な尿細管傷害を伴うことから,尿細管間質性腎炎と呼ばれるようになった。尿細管間質性腎炎は,炎症が尿細管や腎間質に限局する一次性と,糸球体病変,血管病変,全身性疾患に続発する二次性に分類される1)。急性糸球体腎炎と腎血管炎は,それぞれ糸球体周囲と血管周囲の急性炎症を引き起こす。また,慢性の硬化性糸球体病変や動脈硬化症による血管内腔の狭窄は,慢性的な腎実質虚血から生じる二次的な腎間質線維化および尿細管萎縮を引き起こす。糸球体における慢性的な血流障害は,細動脈から傍尿細管毛細血管への血流を減少または停止させることで,腎間質線維化や尿細管萎縮を引き起こす。限局的な糸球体硬化であれば,尿細管間質傷害は局所的であるが,びまん性糸球体硬化の場合は,びまん性の尿細管間質傷害をきたしうる。
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