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特集 腎移植:知っておくべき最新の話題
各論:最新の話題
生体腎移植ドナーの予後
Prognosis of live donor of kidney transplantation
剣持 敬
1
KENMOCHI Takashi
1
1藤田医科大学病院臓器移植科
キーワード:
生体腎移植ドナー
,
適応基準
,
透析導入
Keyword:
生体腎移植ドナー
,
適応基準
,
透析導入
pp.175-179
発行日 2024年8月25日
Published Date 2024/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001419
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はじめに
腎移植は末期腎不全(end stage renal disease:ESRD)に対する治療法として確立されており,保険収載されている。腎移植には,亡くなった方から腎臓を提供いただく献腎移植と親族から提供いただく生体腎移植があるが,わが国では脳死,心停止ドナー件数が極端に少ないため,腎移植全体の80%以上が生体腎移植である。生体腎移植は献腎移植に比較して,計画的な移植実施が可能で,レシピエントの移植前検査が十分に行えるため安全性が高い,腎臓の保存や搬送が不要で,阻血時間が短く,移植腎の機能が良好であるなどの利点があり,移植腎生着率やレシピエント生存率が献腎移植に比較して,良好である。しかし健常な方から1腎を摘出することは,手術が100%安全であること,終生腎機能が維持されること,生命予後に影響しないことなどが求められる。しかしながら,手術には100%の安全性は保証できず,また手術合併症や腎機能の低下もありえるため,日本移植学会倫理指針でも,「健常であるドナーに侵襲を及ぼすような医療行為は本来望ましくない。特に臓器の摘出によって,生体の機能に著しい影響を与える危険性が高い場合には,これを避けるべきである」とされている1)。また,イスタンブール宣言でも2),原則は献腎移植であり,生体腎移植を行う場合はドナーの厳重フォローと補償が求められている。
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