オピニオン
生体腎移植ドナーの検査と評価
両角 國男
1
1名古屋第二赤十字病院腎臓内科
pp.922
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101841
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2005年,四国での生体腎移植に関連した金銭授受事件の調査委員会から「病腎移植」が浮上した.病腎移植の調査から瀬戸内グループの「病腎移植」問題が明らかとなってきた.腎移植は善意に基づいた臓器提供を前提とする医療である.腎臓提供は生体腎・死体腎に差はなく善意による命の贈り物である.生体腎移植では提供者の意思確認が重要で,どれほど説明を行っても十分すぎることはない.「病腎移植」が社会に受け入れられなかった背景には,ドナーの腎臓病に対する標準的治療が行われたかについて疑問が残り,文書での正確な説明がされていない事実がある.
生体腎移植ではドナーの腎提供後の健康・精神上の問題を生じさせないように万全を尽くすべきである.麻酔や手術侵襲,腎摘出後の長期にわたる片腎状態による問題を回避し,腎提供後合併症を予防し,心身の健康維持に配慮したドナーの適応評価が不可欠である.また,ドナーからレシピエントに感染症や悪性腫瘍などを持ち込まないように生体腎移植のドナー評価は綿密に計画される必要がある.わが国は生体腎移植が85%を占め献腎移植は少ない.生体腎移植では,ABO血液型不適合腎移植が約15%に増加し,内視鏡下ドナー腎摘出手術の定着を背景に夫婦間移植が増加し,ドナーの平均年齢は53.2歳で,50歳・60歳代が多い.
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