Japanese
English
特集 補体と腎疾患:温故知新
補体系の基本的な理解のために
補体関連検査
Complement testing
大谷 克城
1
,
井上 徳光
2
,
若宮 伸隆
3
OHTANI Katsuki
1
,
INOUE Norimitsu
2
,
WAKAMIYA Nobutaka
3
1酪農学園大学農食環境学群食と健康学類臨床栄養学研究室
2和歌山県立医科大学医学部分子遺伝学講座
3旭川医科大学
キーワード:
補体因子
,
補体系
,
補体疾患
,
補体タンパク質検査
,
補体遺伝子検査
Keyword:
補体因子
,
補体系
,
補体疾患
,
補体タンパク質検査
,
補体遺伝子検査
pp.50-55
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001392
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はじめに
当初,補体活性化不全で起こる易感染性を示す先天性補体欠損症が明らかになって,補体系の重要性が認識された。その後,検査が必要と判断された際には,主にC3,C4および血清補体価(CH50)について,保険診療の範囲内で行われてきた。しかし,近年多方面からの補体研究が進み,補体の活性化と制御のバランスが崩れることによって,さまざまな疾患を引き起こすことが明らかとなってきた。現在では,補体疾患は,補体の活性化や制御にかかわる因子の異常によって引き起こされる補体異常症と,自己抗体や移植などにより二次的に引き起こされる補体関連疾患に分類されるようになった。補体異常症には,補体活性化経路の因子の異常によって補体活性化が起こらない疾患と,補体活性化の制御因子の異常によって過剰な補体活性化が誘導され,補体による細胞の障害や炎症により組織障害が起こる疾患がある。これらの補体疾患を診断するためには従来の3項目の検査のみでは不十分であることから,近年,欧米では国際的な取り組みで,20種類以上の補体タンパク質検査系の確立が進められている。また,最近では,補体遺伝子検査が保険診療の範囲で実施できるようになり,病態の把握や診断,治療方針の決定,治療効果の検証に重要な役割を担うようになっている。ここでは,日本補体学会が進めている補体関連検査の取り組みを含め,補体タンパク質検査の現状と最近確立された遺伝子検査について概説する。
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