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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅷ.腎移植関連
3.感染症 ①ウイルス感染症 アデノウイルス
Adenoviral infection in kidney transplant recipients
原田 浩
1
Harada Hiroshi
1
1はらだ腎泌尿器クリニック
キーワード:
アデノウイルス
,
腎移植
,
出血性膀胱炎
,
ウイルス腎症
Keyword:
アデノウイルス
,
腎移植
,
出血性膀胱炎
,
ウイルス腎症
pp.527-531
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001089
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1 病因・病態
アデノウイルス(adenovirus:AdV)の,新規あるいは潜在性感染の再活性化による感染症である。AdVは比較的大きく,エンベロープを持たない正20面体構造をとる二本鎖DNAウイルスである1)。現在ではすべての脊椎動物に感染するAdVが発見されているが,ヒトにおいては,現在103の遺伝子型,多数の血清型が発見され,AからGまでの7つの種に分類されている(表1)2)。ヒトでは通常6歳までに8割に少なくとも1つの血清型AdVの感染が成立する2)。新規感染の様式は,エアロゾルの吸入あるいは,直接の結膜への接触,糞便-口感染,感染組織や血液への曝露による。潜伏期は血清学型や感染様式によるが2日~2週間とされている。しばしば学校や軍隊などの組織での集団感染を引き起こすことが知られている。なお,季節性はないとされているが季節性発生をみる場合もある。体内に侵入したAdVはコクサッキーウイルスと共通するアデノウイルス/コクサッキーウイルスレセプター(ACR)を介して細胞内感染をきたし,ホストの免疫反応と相まって全身性感染および臓器での病変を形成する3, 4)。
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