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特集 ホメオスタシスと腎臓
トピックス
Cu欠乏に起因する鉄欠乏性貧血:鉄利用障害の細胞機序
Copper deficiency may cause iron deficiency anemia(IDA):cellular mechanisms of iron distribution disorder in the body
布田 美貴子
1
FUDA Mikiko
1
1東北大学病院栄養管理室
キーワード:
ATP7A(銅輸送ポンプ)
,
DMT1(二価金属イオン輸送体)
,
FPN1(フェロポーチン1)
,
銅欠乏性貧血
,
亜鉛欠乏性貧血
Keyword:
ATP7A(銅輸送ポンプ)
,
DMT1(二価金属イオン輸送体)
,
FPN1(フェロポーチン1)
,
銅欠乏性貧血
,
亜鉛欠乏性貧血
pp.665-667
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000961
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はじめに
鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia:IDA)は,世界総人口(約70億人)の約8.8%,6.2億人が罹患する貧血症である。IDA患者は,成長期の子どもと妊娠可能な女性(月経で失血)に多いので,男性(7.8%)より女性(9.9%)に多くみられる。IDAの第1,2要因は,消化管出血と月経による失血であるが,栄養学的視点でみれば,「食事からの鉄摂取・吸収量不足」がその最大要因である1~3)。結局,消化管(十二指腸)の鉄(Fe)吸収(輸送)は,① 食事中の鉄量とその種類(ヘム鉄,非ヘム鉄),② 食材や飲料に含まれる促進物質〔果物などのビタミンC(Vit.C),クエン酸〕・競合物質(煎茶・紅茶などのタンニン)に影響されるが,病態生理学的には,③ 消化管細胞の鉄吸収能(輸送体の発現量と活性)の違い,阻害物質(ヘプシジンなど)の存在の有無が重要である4)。なお本稿では,鉄と銅の見間違いを避けるため,鉄(Fe),Fe,銅(Cu),Cu表記を多用した。
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