巻頭言
SGLT2阻害薬時代における慢性腎臓病,高血圧治療のRA系阻害薬の意義
神田 武志
1
1島根大学医学部附属病院腎臓内科
pp.569-570
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000942
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糖尿病薬として使用されてきたナトリウム・グルコース共役輸送体(sodium glucose cotransporter:SGLT)2阻害薬が,2型糖尿病を合併した慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)のみならず,糖尿病非合併CKDに対して使用可能となった。なかでもIgA(immunoglobulin A)腎症に対するSGLT2阻害薬の腎保護作用は腎臓内科医にとって特筆すべき効果である。SGLT2阻害薬の代表的な臨床試験であるDAPA CKD study,EMPA-kidney studyではCKD患者に対し標準的治療であるACE阻害薬/ARBが8割以上に処方されており,上乗せでSGLT2阻害薬を内服すると推算糸球体濾過量(eGFR)低下速度が緩徐となり,CKD進展が抑制される。近年SGLT2阻害薬のCKDに対する有効性が注目されているものの,わが国ではCKDに対してACE阻害薬/ARBの処方率が低いことが報告されており,今回改めてレニン-アンジオテンシン(renin-angiotensin:RA)系阻害薬のCKD,高血圧治療における意義を振り返りたい。
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