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特集 高血圧の病態と管理の最前線
トピックス
新規選択的アルドステロン合成酵素阻害薬baxdrostatと高血圧治療
A novel selective aldosterone synthase inhibitor baxdrostat and hypertension management
吉田 雄一
1
,
柴田 洋孝
1
YOSHIDA Yuichi
1
,
SHIBATA Hirotaka
1
1大分大学医学部内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座
キーワード:
アルドステロン合成酵素阻害薬
,
baxdrostat
,
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
,
治療抵抗性高血圧
Keyword:
アルドステロン合成酵素阻害薬
,
baxdrostat
,
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
,
治療抵抗性高血圧
pp.246-249
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000854
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はじめに
人体の血圧を維持するための機序の1つとしてレニン・アンジオテンシン系(RAS)が存在する。肝臓で合成されたアンジオテンシノーゲンが,腎臓で合成されたレニンによってアンジオテンシンⅠとなり,肺で合成されたACEによってアンジオテンシンⅡとなる。アンジオテンシンⅡは直接の血管収縮作用などによって血圧を上昇させるほか,副腎に作用してアルドステロンを合成する。アルドステロンはその受容体であるミネラルコルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor:MR)と結合する。MRは腎臓や心臓などの各臓器に分布しており,アルドステロンが細胞質中のMRと結合すると,活性化したMRが核内に移行しその作用を発揮することとなる。特に腎臓におけるMRの活性化作用は重要である。皮質集合管において活性化したMRは上皮性Naチャネル(ENaC)やNa+-K+ATPaseを亢進させ,尿中ナトリウム(Na)の再吸収が促進され循環血漿量が増加し,血圧が上昇する(図1)。本稿では,このような血圧上昇をきたすホルモンであるアルドステロンの合成を減少させるbaxdrostatについて,これまでに実施された臨床研究結果を含めて述べる。
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