Japanese
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特集 高血圧の病態と管理の最前線
各論―新しい治療
高血圧治療用アプリ
Hypertension digital therapeutics in clinical practice
苅尾 七臣
1
,
原田 紀子
1
KARIO Kazuomi
1
,
HARADA Noriko
1
1自治医科大学内科学講座循環器内科学部門
キーワード:
治療用アプリ
,
高血圧
,
家庭血圧
,
生活習慣修正
,
個別最適化医療
Keyword:
治療用アプリ
,
高血圧
,
家庭血圧
,
生活習慣修正
,
個別最適化医療
pp.182-187
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000843
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はじめに
血圧は常に変動しており,血圧変動それ自体が多様なリスクにつながる危険因子となりうる。高血圧治療においては,潜在的に血圧上昇をもたらす因子(生活環境,心理的ストレス,身体活動など)と血圧の関係性を正しく評価し,各患者に適した対策を講じて,血圧レベルと血圧変動を適正範囲内にコントロールすることが望ましい1)。高血圧に対する予防・治療の基本は,生活習慣の修正が最優先事項であり,「高血圧治療ガイドライン2019(ガイドライン)」にも,減塩,減量,禁煙,節酒などの具体的なエビデンスが示されている2)。また,生活習慣の修正がもたらす疾病リスク予防への影響も明らかにされてきており3,4),デジタル通信技術の目覚ましい発展と相まって,日常のヘルスケアから医療の領域まで健康管理を支援するIoTデバイスやアプリ開発が活況を呈している。そのようななか「治療用アプリ(digital therapeutics:DTx,デジタル療法と同義)」といわれる,厳格な臨床試験を経て規制当局から認可を受けたプログラム医療機器が,欧米において先行して開発され,糖尿病や認知症,うつ病などにおいて実用化されてきている5)。高血圧症においても血圧のテレモニタリングや自己管理アプリにとどまらず,医療機関で処方される治療用アプリの研究開発が進められてきた6,7)。国内では,世界ではじめて高血圧治療用アプリの降圧効果が実証され8),この開発品は2022年に薬事承認を経て,正式に保険適用されている。本稿では,アプリによる高血圧デジタル療法のエビデンスと臨床での実用のポイントについて概説する。
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