連載 医療用ITツールのイマとミライ
第6回 高血圧治療補助アプリ
苅尾 七臣
1
,
原田 紀子
1
1自治医科大学内科学講座循環器内科学部門
pp.147-152
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_147
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高血圧は国内患者数4,300万人といわれ,脳卒中や心不全など重篤な循環器疾患の発症,またそれによる死亡の主要な危険因子となっている1).血圧は常に変動しており,血圧変動それ自体が危険因子となりうることから,高血圧患者においては,血圧測定値と潜在的な血圧上昇をもたらす因子(生活環境,心理的ストレス,身体活動など)との関係性を把握して対策することで,過度の昇圧と血圧変動を適正範囲内にコントロールすることが望ましい2).高血圧に対する予防・治療の基本は,生活習慣の修正が最優先事項であり,日本高血圧学会が策定した「高血圧治療ガイドライン2019」には,減塩,減量,禁煙,節酒などの具体的なエビデンスが示されている1).しかしながら,生活習慣の修正・定着は,院外での本人の意識や周囲の協力が欠かせないため,成果を上げることは容易ではない.そのため,近年はテレモニタリングをはじめ,IoTデバイスやアプリケーション(以下,アプリ)開発が活況で,高血圧領域においても世界でさまざまな医療ITツールの研究開発が進められている3~5).
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