治療 透析患者の重症下肢虚血（包括的高度慢性下肢虚血：CLTI）における感染・虚血の治療

Treatment of infection and ischemia in dialysis patients with critical limb ischemia（Comprehensive leading chronic limb ischemia：CLTI）

はじめに

　重症下肢虚血（critical limb ischemia：CLI）は，現在，Global Vascular Guidelines）において包括的高度慢性下肢虚血（chronic limb-threatening ischemia：CLTI）と呼称され，虚血と感染を伴った複合的な病態である^1）。近年透析患者の増加に伴ってCLTIも増加しており，透析はCLTIの最大のリスク因子である。糖尿病を基礎疾患とする糖尿病性足潰瘍も大切断，日常生活動作（activities of daily living：ADL）低下と関連が深いが，死亡率に関しては透析患者のCLTIの方がはるかに高い。透析CLTIは適切な治療を行わないと死亡，大切断，ADL低下に直結する。2016年に下肢末梢動脈疾患指導管理加算が新設され，早期発見，施設連携によるCLTI患者を救う医療制度が整ったが，いまだに手遅れのCLTI症例も多い。本稿では透析患者のCLTIの病態と治療の考え方について概説する。