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特集 高齢化社会の腎泌尿器疾患診療UpToDate
各論―高齢者の腎代替療法
高齢者腎不全患者におけるアドバンス・ケア・プランニングを考える
A practical guid to advanced care planning for elderly patients with chronic kidney disease
石川 英昭
1
ISHIKAWA Hideaki
1
1偕行会城西病院
キーワード:
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
,
猶予あるACP
,
差し迫ったACP
,
保存的腎臓療法(CKM)
,
エンドオブライフ・ケア(EOLC)
Keyword:
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
,
猶予あるACP
,
差し迫ったACP
,
保存的腎臓療法(CKM)
,
エンドオブライフ・ケア(EOLC)
pp.749-753
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000729
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Ⅰ 今なぜ,この命題を考える必要があるのか?
そもそもなぜ,高齢腎不全(CKD)患者におけるアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)のあり方について考える必要があるのか? まずは,ACPが提唱されることになった背景を概観したい。そもそもは20世紀の後半に米国で患者の自己決定権の尊重と医療費削減の目論見で事前指示(advance directive:AD)が法制化されたことに端を発する1)。紙幅の関係で詳細は省くが,ADの有用性についての臨床研究の結果から2),ADを作成することに主眼を置くのではなく,将来的な治療やケアについて話し合いのプロセスを重視すべきとの認識が広まった。日本では,厚生労働省がACPを「人生の最終段階の医療・ケアについて,本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス」と定義している3)。では,なぜACPが大切なのか? 医療を提供するに際して,理由と目的を患者,家族,医療従事者が共有する必要があるが,当然ながらさまざまな人生観や価値観がある。事前に,これらについて十分に合意形成を図ることで,将来患者本人の意思確認が困難になっても,治療方針に合意内容を反映させることが可能となる,これがACPの最大の目的である。
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