Japanese
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増刊号 腎代替療法のすべて
【第9章 透析患者の合併症】
1 心不全
Heart failure as a complication of dialysis patients
小川 哲也
1
Ogawa Tetsuya
1
1東京女子医科大学附属足立医療センター内科
キーワード:
左室拡張障害
,
NT-proBNP
,
RA系阻害薬
,
ARNI
,
β遮断薬
Keyword:
左室拡張障害
,
NT-proBNP
,
RA系阻害薬
,
ARNI
,
β遮断薬
pp.454-457
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000478
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Ⅰ.概念および疫学
心不全とは,構造的,機能的な駆出機能(収縮機能)の低下または心室の拡張機能の低下の病態であり,複合的な臨床症候群である。2021年の日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドラインでは,心不全を次のように定義した。「心臓に器質的および/あるいは機能的障害が生じ,心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現して,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」1)。透析患者では,非透析例と比べると心不全の原因となる構造的・機能的な心疾患を高率に合併し,死因の第1位は心不全であり,全体のおよそ25%を占めている2)。腎機能の低下が心血管疾患の発症,冠動脈疾患,心筋梗塞,心房細動のリスクを高めると報告されており,体液調整障害および腎機能低下に関連する血管内皮障害が心疾患発症の重要な因子である。
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