臓器障害とAKI ネフローゼ症候群

Acute kidney injury in nephrotic syndrome

はじめに

　ネフローゼ症候群（nephrotic syndrome：NS）は大量の糸球体性蛋白尿をきたした結果，低蛋白（低アルブミン）血症や浮腫が出現する症候群である。そのなかで，特に高度な蛋白尿をきたす微小変化群（minimal change disease：MCD）においては，比較的多くの症例で発症に伴いある程度の糸球体濾過量（glomerular filtration rate：GFR）の低下を認め，一部の症例では血清クレアチニン値の上昇を伴う急性腎障害（acute kidney injury：AKI）を併発する。最近では，高齢発症NS例や，高血圧/血管疾患例のNS併発例など，AKIの高リスク例も多くなってきている。