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特集 IgA腎症―最新の知見
【病因論】
口腔内および腸管における細菌叢
Relationship between IgA nephropathy and microbiome in oral cavity and gut
長澤 康行
1
NAGASAWA Yasuyuki
1
1兵庫医科大学 総合診療内科学
キーワード:
細菌叢
,
歯周病菌
,
齲蝕菌
,
扁桃
,
IgA腎症
Keyword:
細菌叢
,
歯周病菌
,
齲蝕菌
,
扁桃
,
IgA腎症
pp.974-978
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000196
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Ⅰ 口腔内細菌叢とIgA腎症
IgA腎症の最大の特徴はIgA1の糸球体のメサンギウム領域への沈着であり,この沈着しているIgA1にはヒンジ部分の糖鎖異常があることが報告されてきており,IgA腎症の病因の中心にこの糖鎖異常のIgA1があることがわかってきている。このIgA1の主たる産生部位は扁桃を含む上気道の粘膜の免疫担当細胞になり,nasopharynx-associated lymphoid tissue(NALT)と呼ばれている。このNALTの役割は,上気道の細菌を主とする異物を排除することであり,IgA腎症の病因となっている糖鎖異常IgA1の産生刺激としては,口腔内の細菌叢が想定されることになる(図1)1)。実際,急性扁桃炎時に肉眼的血尿を呈することや扁桃摘出術でIgA腎症の腎予後が改善することなども直接的に口腔内の細菌叢が病因となっていることを支持している。
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