Japanese
English
特集 IgA腎症―最新の知見
【疫学】
IgA腎症の臨床疫学―欧州との差異も含めて
Clinical epidemiology of IgA nephropathy
牧田 侑子
1
,
鈴木 仁
2
MAKITA Yuko
1
,
SUZUKI Hitoshi
2
1順天堂大学大学院医学研究科 腎臓内科学講座
2順天堂大学医学部附属浦安病院 腎・高血圧内科
キーワード:
IgA腎症
,
性差
,
腎生検
,
遺伝因子
,
環境因子
,
治療
Keyword:
IgA腎症
,
性差
,
腎生検
,
遺伝因子
,
環境因子
,
治療
pp.957-961
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000193
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はじめに
IgA腎症は原発性糸球体腎炎の約40%を占め,わが国で最も頻度の高い糸球体腎炎である。IgA腎症は外来抗原への曝露を契機に腎症の発症・増悪を認めることから,その病態においては外来抗原を介した粘膜免疫応答異常の関与が指摘されている。しかし,IgA腎症の有病率には地域差,人種差がみられ,家族内集積を認めることから遺伝的背景も議論されている。近年のゲノムワイド関連解析(genome-wide association study:GWAS)では,多くの疾患感受性遺伝子が特定され,異なる人種間で観察されたIgA腎症の臨床的特徴が遺伝学的側面からも検討されている。また,IgA腎症の臨床所見は無症候性血尿から急速進行性糸球体腎炎まで多様だが,アジア人は白人よりも重症度が高く予後が悪いことが報告されている1)。腎組織所見においても,白人と比較してアジア人に管内増殖や半月体形成などの活動性病変をより多く認め2),人種的多様性が示唆されている。
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