Japanese
English
研究
維持血液透析患者の体内鉄量に関する検討
Study on estimated total body iron levels in maintenance hemodialysis patients
中倉 兵庫
1
NAKAKURA Hyogo
1
1北辰会 天の川病院(旧有澤総合病院)血液浄化センター
キーワード:
体内鉄量
,
腎性貧血
,
鉄欠乏性貧血
,
血液透析
,
貧血管理
,
血清フェリチン
Keyword:
体内鉄量
,
腎性貧血
,
鉄欠乏性貧血
,
血液透析
,
貧血管理
,
血清フェリチン
pp.929-937
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000185
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
背 景
鉄は酸素の運搬,酸化還元反応,アデノシン三リン酸(ATP)産生,核酸合成などのさまざまな生命活動に不可欠な微量金属である1)。健常な成人の体内にはおよそ3~5gの鉄が存在し,そのうち2~2.5gは赤血球などの赤血球造血系の細胞内にヘモグロビン(Hb)として存在するといわれている2)。細胞質内で余った鉄は,Fe(Ⅱ)のままでは活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)の産生を促して危険なため,鉄貯蔵蛋白であるフェリチンへと運ばれて安全に格納される。体内鉄の3割ほどが肝臓や骨髄,筋肉などに貯蔵鉄としてストックされているといわれており,Hb鉄と貯蔵鉄で体内鉄の大半を占める。フェリチンは網内系細胞から能動的に分泌されているため,血清中のフェリチンの量は体内の貯蔵鉄の量をよく反映するといわれている3)。細胞質のフェリチンは,HとLのサブユニットがさまざまな割合で24量体を形成した球状の蛋白である4)。また,構造的にはフェリチン1分子あたり最大約4,500個の鉄イオンを格納できるが,実際にはフェリチン分子中の鉄イオン含量は広く分布しており,均質ではない5~7)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.