Japanese
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特集 ネフローゼ症候群update
【診断と治療】
主要構成疾患の疾患概念
The concept of primary glomerular diseases leading to nephrotic syndrome
後藤 眞
1
,
成田 一衛
1
GOTO Shin
1
,
NARITA Ichiei
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎研究センター 腎・膠原病内科学分野
キーワード:
ネフローゼ症候群
,
微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)
,
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
Keyword:
ネフローゼ症候群
,
微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)
,
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
pp.709-712
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000140
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はじめに
ネフローゼ症候群では,尿蛋白量が増加するとともに血中の蛋白・アルブミンが低下する。血管内外の体液バランスが保てず浮腫が形成され,さらには肝での蛋白合成が亢進し,血中コレステロール値が上昇する。これらの症候を呈する腎疾患はそれぞれ特徴的な糸球体病変をきたすが,共通する病態として腎糸球体におけるバリア機構の破綻がある。正常な糸球体バリア機構には糸球体上皮細胞・基底膜・内皮細胞の構造と機能の維持が必要であり,近年は特に糸球体上皮細胞の重要性が明らかとなっている。一次性ネフローゼ症候群を呈する主要構成疾患には,微小変化型ネフローゼ症候群(minimal change nephrotic syndrome:MCNS),巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS),膜性腎症(membranous nephropathy:MN),膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)などがあり,日本腎臓学会の腎生検レジストリー(J-RBR)では,ネフローゼ症候群の約6割を占める(図)1)。本稿ではそれらの疾患概念について概説する。
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