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特集 遺伝性消化管疾患の内視鏡診療
遺伝性消化管間質腫瘍(GIST)
Hereditary GIST syndromes
内藤 陽一
1
Yoichi Naito
1
1国立がん研究センター東病院総合内科
キーワード:
消化管間質腫瘍
,
GIST
,
遺伝性
Keyword:
消化管間質腫瘍
,
GIST
,
遺伝性
pp.833-835
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002118
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Ⅰ.消化管間質腫瘍(GIST)
消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)は消化管に発生する間質性腫瘍のなかで最多のものである。1998年GIST研究会の廣田誠一らにより,GISTはKIT蛋白の異常が原因で発症することが報告され1),現在もKITを標的とする治療がGISTに対する薬物療法の中心である2)。その後,GISTの一部はplatelet-derived growth factor receptor alpha(PDGFRA) の変異によることが報告された3, 4)。これらの遺伝子変異は,ほとんどは体細胞変異として報告され,GISTの9割程度はKIT変異ないしPDGFRA変異を有することが報告されている。KIT変異,PDGFRA変異のいずれも有さないGISTはwild type GISTとも呼ばれ5),通常はKITを標的とするイマチニブなどの薬剤の有効性は乏しい。GISTの原発巣としての発生部位で最も多いのは胃(60%)で,次いで小腸(30%),十二指腸(5%),結腸(4%),食道/虫垂(1%)である6)。食道GISTはおもに食道の遠位部に発生し7),十二指腸では,十二指腸の2nd portionが好発部位である8)。GISTは基本的には粘膜下腫瘍であり,粘膜に覆われた隆起した腫瘤として認められる9)。小腸GISTでは,他の粘膜下腫瘍と比べ周囲粘膜の拡張血管数が有意に多くみられたという報告もある10)。

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