【Topics】プロトンポンプ阻害薬（PPI）は胃底腺ポリープを癌化させる？

Is adenocarcinoma induced by proton pump inhibitor from fundic gland polyp?

プロトンポンプ阻害薬（PPI）長期投与の問題点

　近年注目されているプロトンポンプ阻害薬（proton pump inhibitor：PPI）の問題点として，PPI長期投与によるHelicobacter pylori（H. pylori，以下ピロリ）除菌後胃癌がある。Cheungら^1）は，除菌後のPPI服用者の胃癌リスク比は2.44倍であり，服用期間が1年以上で5.04倍，2年以上で6.65倍，3年以上で8.34倍と服薬期間依存性のリスクの増大がみられると報告としている。筆者ら^2）は，ピロリ除菌後にも胃癌（gastric cancer：GC）が出現することに関して，胃マイクロバイオームのさまざまな構成要素がGCの発症に影響に関して，ヒト胃粘膜サンプルを16SrRNA配列決定により解析し，マイクロバイオーム構成とGCリスクを含む臨床パラメータとの関連を検討した。ピロリ除菌後の患者は，16SrRNAシーケンスによって明らかになった微生物組成にもとづいて三つのサブグループを形成した。フソバクテリウム（Fusobacterium）種とナイセリア（Neisseria）種に富む一つの生物多様性異常群は，有意に高いGC罹患率と関連していたことを報告した。