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特集 消化器内視鏡寸言集2025
Ⅲ.胃・十二指腸
増加・増大する胃ポリープは酸分泌抑制薬を中止または減量せよ
Stop or reduce proton pump inhibitor (PPI) intake when gastric polyps increase in number or size
今枝 博之
1
,
山田 健人
2
Hiroyuki Imaeda
1
1埼玉医科大学消化管内科,総合診療内科
2埼玉医科大学病理診断科
pp.528-529
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001995
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解説
胃過形成性ポリープの多くはHelicobacter pylori(H. pylori)感染慢性胃炎を背景に認め,H. pyloriを除菌することによりポリープの7割程度で消失,縮小がみられる1)。一方で,近年,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(potassium-competitive acid blocker:PCAB)の長期投与により多発の胃底腺ポリープや過形成性ポリープの発生や増大がしばしば経験される2, 3)。時に出血をきたし,貧血の進行を認めることもある。増加・増大する原因として,PPIやPCABによる直接作用や酸分泌抑制による胃酸の低減による増殖,酸分泌抑制により反応性に高ガストリン血症をきたし,ポリープの増殖をきたすことなどが考えられている。PPI長期投与により増大する胃底腺ポリープでは,内視鏡的に通常の胃底腺ポリープとは異なり,水腫様に膨化した多房性の形態を示すことが特徴である。病理学的にはparietal cell protrusionといわれる壁細胞の腫大膨化と腺管内腔側に鋸歯状に突出を示す所見や壁細胞過形成などがみられ,通常の胃底腺ポリープとは病態が異なることが指摘されている4)。また,胃癌やdysplasiaを合併した症例も報告されているが,このような症例はきわめて稀である。
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