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特集 大腸内視鏡 挿入・観察 A to Z
[挿入困難例はこう克服する]
大腸過長症への対応
Those with redundant colon
千野 晶子
1
Akiko Chino
1
1がん研有明病院下部消化管内科
キーワード:
S状結腸過長症
,
横行結腸過長症
,
巨大結腸症
Keyword:
S状結腸過長症
,
横行結腸過長症
,
巨大結腸症
pp.336-339
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001907
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はじめに
一般的な大腸の長さは,軸保持短縮で挿入された挿入長を指標とすると,肛門縁から脾彎曲まで40cm程度,盲腸までは70〜80cm程度といわれている1)。平均よりも長い大腸過長症は,後腹膜に固定されていないS状結腸または横行結腸のいずれか,またはS状結腸と横行結腸ともに長いパターンがある。一般症例では,RSからS状結腸が腹部前方へ走行してからいったん折り返してSD junctionへつながるところ,過長症では幾重にも折り返してSD junctionへつながる。また,一般的な横行結腸では,脾彎曲から左横行結腸にかけて徐々に下腹部方向へ落ち込んでから中央部で頭部方向へ折り返し,右横行結腸から肝彎曲部へつながるところ,過長症では中央部から折り返した先にさらにもう一度折り返しを有する。図に,S状結腸と横行結腸ともに過長な手術歴のない大腸過長症の3DCTコロノグラフィを示す。このような想定外の走行を呈する大腸では,パターン挿入ができずに大腸軸から離れてループが形成されやすい1)。挿入前に過長症との情報があれば,挿入困難を回避する挿入法ができるが,挿入後に遭遇した場合には,推測困難なループ形成やスコープ先端のparadoxical movement,スコープ長が不足するといった事象が起こる。また,腸のredundantな巨大結腸や,固定性不良といった事象も併存することもあり,この場合も挿入時の対応が類似する。

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