食道胃接合部観察の基本とコツ

Basics and tips for observing esophagogastric junction

はじめに

最近の約30年間で，食生活の欧米化，Helicobacter pylori（H. pylori）感染率の低下などによる胃食道逆流症（gastroesphageal reflux disease：GERD）およびその合併症であるBarrett食道腺癌の増加^1）により，食道胃接合部（esophagogastric junction：EGJ）に対する注目が高まっている^2）。さらに食道アカラシアに対するperoral endoscopic myotomy（POEM）^3）およびhigh-resolution manometry（HRM）の普及^4）により，EGJに関する関心がさらに高まってきている。長年にわたり，本邦では，食道下部柵状血管の下端（distal end of the palisade vessels：DEPV），欧米では，胃の縦走ひだの口側終末部（proximal end of the gastric folds：PEGF）を主たるEGJの定義としてきたが，最近，京都国際コンセンサス会議において，EGJは，解剖学的にも臨床的にもDEPVとするとのコンセンサスが得られた^5）。現在，このコンセンサスに関しての実証的検討を行う多機関共同研究が進行しているが，本稿ではEGJの内視鏡観察の基本とコツをBarrett食道の定義などを含めて概説する。