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疾患の概要
傍神経節腫(paraganglioma:PG)は,胎生期の神経堤(neural crest)由来の傍神経節(paraganglion)から発生する稀な腫瘍である。PGは副腎外褐色細胞腫ともいわれる。副腎髄質由来の褐色細胞腫は10万人に2~8人の発生頻度であるが,PGはその10~29%の頻度とされ,後縦隔,後腹膜,腹部大動脈周囲が多い1)。動悸,発汗,頭痛,胸部圧迫感,高血圧など症候性の患者は65%とされ,生化学検査では血中・尿中カテコラミンおよびその代謝産物の異常高値が認められる。画像所見では,CTの早期から造影効果がみられ多血性腫瘍の特徴を示し,脂肪を含有しない。MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で不均一高信号を呈する。右腎動脈周囲の傍神経節から発生した場合には,右腎,十二指腸,膵頭部近傍の腫瘍として発見される2)。内視鏡検査では,十二指腸が壁外性に圧排されている所見を呈し,十二指腸原発の消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)や神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm:NEN)が鑑別にあげられる。組織採取の手段としてEUS-FNAが考慮されるが,穿刺による急激な血圧上昇が危惧され,避けるべきとの考えが一般的である。病理学的には,PG,NENともsynaptophysin,chromogranin Aが染色されるので鑑別が難しい。PGではS-100支持細胞で陽性,神経内分泌腫瘍ではAE1/AE3が陽性といわれている点で鑑別される3)。EUS-FNA以外では,123I-MIBGシンチグラフィにて,PGは123Iが集積するため鑑別可能である。治療は,後腹膜原発のPGは9.5%が悪性であるため外科的切除が推奨される。WHO内分泌腫瘍分類ではすべてのPGは転移する可能性のある悪性腫瘍に分類される。また,病理学的観点から腫瘍の悪性度,予後予測を可能にするGAPP分類が作成されており,褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018にも記載されている。
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