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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅰ.腫瘍,腫瘍様病変
リンパ増殖性病変
腸管症型T細胞性リンパ腫
Enteropathy-associated T-cell lymphoma (EATL)
岡田 明彦
1
,
宮城 佳美
2
Akihiko Okada
1
,
Yoshimi Miyagi
2
1大阪府済生会中津病院消化器内科
2大阪府済生会中津病院病理診断科
キーワード:
セリアック病
,
消化管原発T細胞リンパ腫
,
EATLⅠ型
Keyword:
セリアック病
,
消化管原発T細胞リンパ腫
,
EATLⅠ型
pp.486-487
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001323
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疾患の概要
腸管症型T細胞性リンパ腫(enteropathy-associated T-cell lymphoma:EATL)は消化管原発T細胞リンパ腫の代表格であるが,末梢性T細胞リンパ腫の5%未満と稀な疾患である1)。2008年のWHO分類第4版ではセリアック病(Celiac disease:CD)との関連性の高いEATL typeⅠと,関連がなく病理学的特徴も異なるEATL typeⅡとに分類されていたが,2017年の同分類改定第4版でtypeⅡは単形性上皮向性腸管T細胞性リンパ腫(monomorphic epitheliotropic intestinal T-cell Lymphoma:MEITL)とされEATLとは別分類となった2)。EATLは北欧を中心とした欧米に多くみられ,CD患者のEATL発症率は10万人あたり0.22~1.9人とされている。高齢者(60~70歳)や男性にやや多く,特定のHLAハプロタイプ(DQ2,DQ8)との関連が報告されている3)。EATLの好発部位は小腸(90%以上)であり32~54%が多発病変である。病変の発生部位としては他に大腸や胃,皮膚,リンパ節,脾臓,中枢神経系の報告がある1)。症状としては腹痛,下痢などの消化器症状のほか吸収不良に伴う低栄養状態を呈し,進行例では腸穿孔や出血を認める。内視鏡検査,特にダブルバルーン小腸内視鏡検査は小腸病変の局在や組織診断に有用であり,病期分類にはCTやMRIの他,PET検査が有用である。治療については標準治療が確立されておらず多剤併用化学療法が行われているが予後不良である。
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