発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011140427
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56歳男。数ヵ月前から腹痛を自覚していたが放置していた。今回、下痢、高熱、腹部の激痛が出現し、CTで腹腔内に遊離ガス像を認めたため、消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断され緊急手術を施行した。Treitz靱帯から15cmの小腸腫瘍に穿孔があり、腫瘍は横行結腸に浸潤し、右半結腸と空腸を一塊に摘出して空腸-空腸、回腸-結腸端端吻合術を施行した。病理所見は、単調な異型細胞が空腸粘膜から腸間膜結腸粘膜にびまん性に浸潤し、免疫染色では、CD3陽性、CD20陰性で、intestinal T-cell lymphomaと診断した。回腸吻合部縫合不全で第8病日に9cm切除後に吻合し、断端にリンパ腫細胞浸潤を認めた。第20病日に発熱、呼吸困難、胸腹部痛、X線で左胸水の貯留を認めたため胸腔ドレーンを留置した。第23病日のCTで悪性リンパ腫の進展と考えられる軟部組織陰影が腹腔から左胸腔に連続していた。胸水細胞の表面マーカー解析で腫瘍細胞はCD3、CD56、CD8、CD7、CD25は陽性、CD103陰性であった。発熱、呼吸困難、胸腹部痛にdexamethasoneパルス療法で対処し、第40病日にCHOP療法を施行したが、腫瘍の進展は抑制されず全身状態の悪化で第57病日に死亡した。
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