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Ⅰ.好酸球性胃炎
好酸球性胃炎(eosinophilic gastritis:EoG)は,腹痛・嘔気嘔吐・食欲不振・食後腹部膨満感などさまざまな上腹部症状を呈し,有意な胃粘膜好酸球浸潤をきたす慢性アレルギー疾患である1)。本邦では好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis:EGE)に分類されるが1),近年国際的には食道外の好酸球消化管疾患(non-esophageal eosinophilic gastrointestinal disease)の一つとして臓器ごとの病名が提唱されており,EoGとすることが多い2)。厚生労働省研究班の診断基準1)では胃粘膜生検で高視野に20個以上の好酸球浸潤〔≧20 eosinophils(eos)/high power field(hpf)〕を認めることとされているが1),臨床試験ではCollins基準3)による生検1切片中5視野以上に≧30 eos/highとすることが多い。病態は好酸球性食道炎のようにTh2優位な免疫応答,さまざまなサイトカイン・ケモカイン産生,好酸球や肥満細胞浸潤による慢性炎症と考えられるが,詳細な機序は不明である。ガイドラインでは重症例の急性期や難治例の寛解導入にはステロイド全身投与1),軽症例では抗アレルギー薬(特にモンテルカスト)が推奨されている1)。その他,一般的にはプロトンポンプ阻害薬などの酸分泌抑制薬なども用いられる。原因が明らかな症例では食物除去療法が有効であるが1),成人にはきわめて忍耐と努力が必要であり,原因食物にとっては継続的な食物除去は困難な場合も多い。最近,生物学的製剤である抗siglec-8抗体(リンテリマブ)の有効性が質の高い臨床試験で証明された4)。本邦では,その他の生物学的製剤を含めて現在保険適用はないが今後,難治例に対する治療法として期待されている。
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