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Ⅰ.治療目標と評価
好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE)は食道症状と食道上皮内好酸球浸潤〔高倍率視野に15個以上,≧15/high power field(HPF)〕を伴う慢性アレルギー疾患である1, 2)。病期は炎症期と線維化期に分けられ,線維化が進行すると狭窄が出現し,食物嵌頓のため緊急内視鏡下摘出が必要となる。治療の目標は,①わずらわしい症状を改善し,患者のQOLを向上させること,②合併症としての線維性狭窄を予防すること,である。治療は薬物治療(酸分泌抑制薬,コルチコステロイド,抗アレルギー薬,生物学的製剤など),アレルゲン除去療法(成分栄養,多種除去食),拡張術に分けられる。治療評価については,明確なコンセンサスは得られていないが,症状,内視鏡所見,組織学的所見を総合して判断する3)。表1に治療効果判定の目安を示す。症状はEoEに特異的な自己記入式質問紙票を用いることで客観的に評価できるが,研究や治験に限定され日常臨床的ではない。内視鏡像のグレードシステムであるEndoscopic Reference Score(EREFS)は比較的簡便であり,一般日常臨床でも使用可能である。スコア2以下となれば寛解とされ,スコア0で正常粘膜=完全寛解と判定できる。組織学的所見はEoEに特異的なスコアシステムも報告されているが,煩雑であり生検材料の状態により判定できないこともあるため一般的でない。上皮内浸潤好酸球数の評価は15/HPF未満を寛解とする場合が多い。より厳格に判定すべきとして,6/HPF以下に設定している報告もある。正常の食道粘膜では好酸球は0~1/HPFであることから,1/HPF以下であれば完全寛解といえる。これらの3項目のなかでは,治療目標を考慮すると症状改善度を重視すべきと思われる。ただし,日常的な疾患である機能性消化管疾患合併も症状に関連する場合があり,EoE症状との鑑別が難しいことが課題である。
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