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特集 表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)の内視鏡診断と治療
[治療]
各切除方法の適応とコツ Water pressure methodによる十二指腸ESD
Water pressure method
矢作 直久
1
Naohisa Yahagi
1
1慶應義塾大学腫瘍センター
キーワード:
十二指腸腫瘍
,
ESD
,
water pressure method
Keyword:
十二指腸腫瘍
,
ESD
,
water pressure method
pp.793-799
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000775
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Ⅰ.十二指腸におけるESDの特殊性
ESDの基本は,良好な隆起を形成して安全かつ確実に切開と剝離を行うことである。ところが十二指腸下行部以深にはKerckringひだが存在して波うっているが,大腸とは異なりひだの下には筋層は存在せず,筋層そのものはフラットで襞下の粘膜下層に余裕があるため,局注しても良好な隆起は得られづらい。ひだに沿って局注液が側方に流れていってしまうため,目的の部分が隆起していないのに不必要な周辺組織が持ち上がってしまうことも少なくない。また粘膜に余裕があり張力が得られにくいため,粘膜を切開しても切開創が開かず,その後の粘膜下層の剝離が困難になってしまうことが十二指腸におけるESDの最大の問題点である。さらに,十二指腸の筋層は非常に薄く,フードを装着したスコープを強く押しつけて粘膜下層を展開したり,止血処置を行った場合に穿孔のリスクが高くなってしまうという問題点もある。特に血管穿通部の筋層には隙間があり,止血処置後に容易に穿孔してしまう場合があるため慎重に処置する必要がある。また,十二指腸は上十二指腸角および下十二指腸角で屈曲しているうえに,胃内でたわみやすいためスコープの操作性が悪いこともESDの難易度を上げている要因の一つである。
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