病変の状況に応じた内視鏡治療戦略とそのすみ分け（3,000例の多施設共同研究から）

Endoscopic treatment strategies depending on the situation of the lesions (based on the results of a multicenter research including 3,000 duodenal tumors)

はじめに

　表在性十二指腸上皮腫瘍（superficial duodenal epithelial tumor：SDET）は稀な疾患と考えられていたが，スクリーニング上部内視鏡検査中に発見される機会が増加してきている。内視鏡的切除は，臓器の温存により術後QOLを維持できることから，十二指腸においても適用される。十二指腸の内視鏡切除には大きく分けて，スネアを用いたEMRとESDの二つの方法があるが，最近では，EMRの変法として十二指腸の内腔を水や生理食塩水で満たし，粘膜下層への局注を行わずにスネアで病変を切除するunderwater EMR（UEMR）^1～3）や，高周波電流を使わずに物理的に病変部を切除するコールドポリペクトミー（CP）^4）などが報告されている。