Japanese
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特集 表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)の内視鏡診断と治療
[SNADETと鑑別を要する病変]
異所性胃粘膜
Duodenal gastric heterotopia
河合 隆
1
,
柳澤 京介
1
,
山岸 哲也
1
Takashi Kawai
1
,
Kyosuke Yanagisawa
1
,
Tetsuya Yamagishi
1
1東京医科大学消化器内視鏡学
pp.746-747
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000762
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疾患の概要
異所性胃粘膜の頻度は0.5~2%と報告されている1)。おもに十二指腸乳頭より口側,特に球部にみられ,小隆起の集簇あるいは単発性隆起の形態をとる。組織学的に十二指腸異所性胃粘膜は胃底腺粘膜からなり,表層は胃腺窩上皮に被覆される2)。古くはLessellsら3)により,①胃表層上皮のみの化生によるもの,②幽門腺に壁細胞・主細胞を伴う化生性変化,③胃底腺を伴う真の迷入に分類している。③が狭義の異所性胃粘膜とされている。その成因は先天的な胃組織の迷入であるとされている。一方,固有胃腺を伴わない異所性胃上皮は胃上皮化生とよばれ,炎症などに伴ってみられる後天的な変化である。経時的に観察すると形態的変化は乏しいことが多いが,異所性胃粘膜を母地とした発癌も報告されており,特に大きいものや形態が変化したものなどについては詳細な観察が必要である。表層は胃腺窩上皮に被覆されていることから,narrow band imaging(NBI)併用拡大観察では,周囲の十二指腸粘膜の絨毛上皮とは異なる胃腺窩上皮に類似するパターンが観察される。異所性胃粘膜は男性多く,さらにHelicobacter pylori(H. pylori)感染とは負の相関,プロトンポンプ阻害薬(PPI)内服とは正の相関が示唆されている4)。
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