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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅲ. 陥凹を呈する病変
1. 上皮性・非腫瘍性陥凹病変
Mallory-Weiss症候群
Mallory-Weiss syndrome
都宮 美華
1
,
有馬 美和子
2
,
剛﨑 有加
3
Mika TSUNOMIYA
1
,
Miwako ARIMA
2
,
Yuka KOWAZAKI
3
1がん研有明病院健診科
2上尾中央総合病院消化器内科
3埼玉県立がんセンター内視鏡科
キーワード:
Mallory-Weiss症候群
,
特発性食道破裂
Keyword:
Mallory-Weiss症候群
,
特発性食道破裂
pp.210-211
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000421
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疾患の概要
Mallory-Weiss症候群は嘔吐などで急激な腹腔内圧や胃内圧の上昇をきたしたのちに食道胃接合部付近に裂創を生じ,出血をきたす疾患である。1929年にMalloryとWeissらが,アルコール常飲者で飲酒後嘔吐を繰り返したあとに大量吐血をきたした15例(うち死亡例4例)を報告したことがはじまりである1)。発症の機序は,嘔吐などにより腹圧が上昇し,胃内圧が高くなり,また,嘔吐反射により胃が食道内に脱出し,噴門および食道下部に圧が加わり伸展されるために裂創が生じると考えられている。発生部位は食道胃接合部の小彎側や後壁側が多く2),また,発生部位別にⅠ群:食道限局型,Ⅱ群:胃限局型,Ⅲ群:食道・胃併存型に分類され,Ⅱ群が最多とされる2,3)。裂創は胃の長軸方向に平行な縦型の線状または紡錘形を呈する。裂創の深さは65%が粘膜下層にとどまるが,30%は筋層に及ぶとされる。背景因子としてアルコール常飲者,萎縮性胃炎が多いとされるが3),食道裂孔ヘルニアとの関連はいまだに意見が分かれている。内視鏡的治癒過程は4相に分類されており,出血期(出血中の裂創),解放期(哆開しているが出血を認めない裂創),線状期(裂創がほぼ閉鎖し白苔が線状に縦走する),瘢痕期(白苔が消失し瘢痕化を認める)に分けられる4)。
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