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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅲ. 陥凹を呈する病変
1. 上皮性・非腫瘍性陥凹病変
Cameron潰瘍
Cameron ulcer
眞鍋 琢
1
,
永見 康明
1
,
藤原 靖弘
1
Taku MANABE
1
,
Yasuaki NAGAMI
1
,
Yasuhiro FUJIWARA
1
1大阪公立大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
Cameron lesion
,
食道裂孔ヘルニア
,
胃潰瘍
Keyword:
Cameron lesion
,
食道裂孔ヘルニア
,
胃潰瘍
pp.192-193
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000412
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疾患の概要
食道裂孔ヘルニアの横隔膜貫通部に生じる潰瘍のことをCameron潰瘍と呼ぶ。また,同部位に生じる線状のびらんをCameron erosionと呼ぶ。これらを総称して,報告者のMayo ClinicのCameronの名前から,Cameron lesionと呼び,慢性の鉄欠乏性貧血の原因であると報告されている1)。Cameron潰瘍を有する患者の平均年齢は70.1歳と比較的高齢者に多く,Cameron lesionとしての有病率は,食道裂孔ヘルニアの存在下において3.3%や5.2%などの報告があり,巨大な食道裂孔ヘルニアほどCameron lesionが生じやすいと報告されている2)。Cameron潰瘍を含めたCameron lesionについて,巨大な食道裂孔ヘルニアを有することと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服が関連していると考えられているが,病因は明確にはされていない。Cameronら3)は,呼吸時の横隔膜収縮への物理的負荷による外傷としてヘルニア内の粘膜傷害と提唱しており,この仮説を含めさまざまな仮説が提唱されている。近年,Kaneyamaら4)は既報にない因子として,胃食道逆流防止機構として作用するGastroesophageal flap valve(GEFV)に注目して検討した結果,正常なGEFVを有することでCameron潰瘍が発生する因子の一つである可能性を報告している。他にも胃酸による粘膜傷害や局所の虚血などが原因とされ,さまざまな因子が組み合わさって,Cameron lesionを発症すると考えられている。
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