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疾患の概要
好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis:EGE)は,胃,小腸,大腸の消化管局所に好酸球が異常に集積し,その炎症により消化管組織傷害および機能不全をきたす疾患である。好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE)とともに,好酸球性消化管疾患(eosinophilic gastrointestinal disorders:EGIDs)として,2015年から厚生労働省の指定難病となっている。EGEの成因として食物抗原を中心としたアレルギーの関与が指摘されているものの,特に成人の場合はそのアレルゲンは不明なことが多い。消化管壁内における炎症の局在で多彩な臨床像を呈することが知られており,好酸球がおもに浸潤する層により,①predominant mucosal layer disease type(粘膜・粘膜下層型),②predominant muscle layer disease type(筋層型),③predominant subserosal layer disease type(漿膜下層型)に大別され,びらんや浅い潰瘍は粘膜・粘膜下層型,U1-Ⅲ以上の深い潰瘍は筋層型に多く見られるものの,臨床的には明確な区別がつかないことも多い。診断は臨床症状(腹痛・下痢・嘔吐など)と生検組織での好酸球浸潤(複数箇所で20/HPF以上)を中心になされるが,筋層型や漿膜下層型の場合は,通常の内視鏡的生検では好酸球検出が困難なことも多く,外科的な組織診断が必要な場合もある。2020年9月に「幼児・成人好酸球性消化管疾患診療ガイドライン」1)が公表されたが,EGEの病態・診断・治療に関してはいまだ不明な点も多く,今後の更なる検討が待たれる。
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