特集 おなかの病気を診る〜機能性消化器疾患への誘い—つらいおなかの痛み、張り、下痢、便秘への処方箋
【機能性疾患mimic〜アタマの片隅に置いてほしい疾患】
❺好酸球性胃腸炎
岡村 幸重
1
1佐野厚生総合病院 消化器内科
キーワード:
原因不明の腹痛
,
好酸球性消化管疾患
,
好酸球性胃腸炎
Keyword:
原因不明の腹痛
,
好酸球性消化管疾患
,
好酸球性胃腸炎
pp.756-759
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350070756
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CASE 1
患者:42歳、男性。
主訴:心窩部痛
既往歴/併存症:気管支喘息、アレルギー(甲殻類)あり
嗜好歴:喫煙(-)、飲酒(-)
病歴:転勤を契機に、約1年前から持続する心窩部痛を認め、近医受診。上部消化管内視鏡検査では、ピロリ菌未感染の軽度胃炎のみであったため機能性ディスペプシア(FD)と診断。内服加療を受けていたが症状の改善なく当科紹介受診となった。
臨床経過:末梢血の好酸球増多(WBC:12,850/μL、Eos 18.3%)を認めていたため好酸球性胃腸炎を疑い、患者の同意を得て、再度上部消化管内視鏡検査を施行した。内視鏡所見では特記すべき所見は認めなかったが、胃前庭部の発赤粘膜から複数箇所の生検を施行したところ、20個/HPF以上の好酸球浸潤を認め、好酸球性胃腸炎(EGE)との診断に至った。その後、プレドニゾロン(PSL)30 mg/日の内服から開始し、心窩部痛は改善し末梢血の好酸球も正常化している。現在、PSLは漸減中である。
*当科受診時のCTでは、胃・腸管壁の肥厚は認めず。また、便中H.pyrori抗原は陰性であった。

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