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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅱ. 平坦な病変
血管拡張症(限局性;日の丸紅斑)
Angioectasia (solitary)
今枝 博之
1
,
山田 健人
2
,
都築 義和
1
Hiroyuki IMAEDA
1
,
Taketo YAMADA
2
,
Yoshikazu TSUZUKI
1
1埼玉医科大学消化管内科
2埼玉医科大学病理診断科
キーワード:
胃血管拡張症
,
血管異形成
Keyword:
胃血管拡張症
,
血管異形成
pp.156-157
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000397
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疾患の概要
胃血管拡張症(angioectasia)は胃粘膜および粘膜下層の細血管異形成であり,毛細血管拡張症(vascular ectasia),末梢血管拡張症(telangioectasia),血管異形成(angiodysplasia)などの同義語として用いられている1)。おもに後天性の疾患であり,先天性の疾患(arteriovenous malformation:AVM)とは鑑別される。正確な原因は不明であるが,内弾性板をもたない毛細血管・静脈性の薄い血管壁からなる異常血管が屈曲蛇行した病態といわれ,粘膜血管の閉塞による慢性的な虚血状態から起こると考えられている。数mm大の比較的境界明瞭な平坦ないし軽度隆起した類円形の発赤として認識される。その周囲には白暈を伴うものも多く,日の丸紅斑とも呼ばれる。大腸に次いで胃に多く認め,多発する症例もあり,胃体中部から胃体下部に好発し,加齢とともにその頻度は高くなる。男性に多く,心血管病変,腎疾患,肝疾患などの基礎疾患を有することもあるが,背景疾患がなく発生している場合も多い。無症状で経過し,内視鏡検査で偶然発見されることが多いものの,なかには貧血,吐血,黒色便で発見され,輸血を要したとする報告もある。
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