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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
1. 上皮性・非腫瘍性隆起病変
B. 扁平隆起
多発性白色扁平隆起
Multiple white and flat elevated lesions (MWFLs)
小刀 崇弘
1
,
田中 信治
1
,
伊藤 公訓
2
Takahiro KOTACHI
1
,
Shinji TANAKA
1
,
Masanori ITOZ
2
1広島大学病院内視鏡診療科
2広島大学病院総合内科・総合診療科
キーワード:
プロトンポンプ阻害薬
,
腺窩上皮過形成
Keyword:
プロトンポンプ阻害薬
,
腺窩上皮過形成
pp.62-63
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000353
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疾患の概要
多発性白色扁平隆起(multiple white and flat elevated lesions:MWFLs)とは,川口らが最初に報告した胃病変であり,2014年に「胃炎の京都分類」1)に掲載された。「春間・川口病変」とも呼称されている。内視鏡的に胃体上部から穹窿部にかけて白色調の扁平隆起が多発してみられ,Helicobacter pylori(H.pylori)未感染ないしは除菌後の胃粘膜に観察されることも多いが,現感染でもみられる。組織学的には胃底腺領域の腺窩上皮の過形成性変化であり,間質に炎症細胞浸潤は伴わない。白色光観察よりも画像強調観察(NBI:Narrow Band Imaging,BLI:Blue LASER Imaging,LCI:Linked Color Imaging)を用いることでより明瞭になる(図1)。筆者らの多施設共同研究では2),MWFLsはプロトンポンプ阻害薬(PPI)内服者の70例中10例(14.3%)に認め,PPI非内服者の937例中31例(3.3%)と比較して有意に高率であった。多変量解析では女性(OR 2.38),年齢50歳以上(OR 4.28),PPIの内服(OR 3.83)がリスク因子としてあげられた。PPIの長期内服に伴う血清ガストリン値の上昇がMWFLs発生に関与すると示唆されているが,H.pylori除菌治療がMWFLs発生に関連するともいわれており,その発生機序については不明な点が多い。
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