特集 咽喉頭・頸部食道癌を見逃すな-拾い上げから治療まで
咽頭・食道癌のハイリスク群の絞り込みとその応用法
古江 康明
1
,
堅田 親利
,
久保田 陽
,
和田 拓也
,
渡辺 晃織
,
細野 浩史
,
加納 孝一
,
石戸 謙次
,
田邉 聡
,
小泉 和三郎
1北里大学病院 消化器内科
キーワード:
飲酒
,
咽頭腫瘍
,
危険因子
,
タバコ喫煙
,
食道腫瘍
,
遺伝子多型
,
遺伝的素因(疾患)
,
パピローマウイルス感染症
,
ADH1B Protein
Keyword:
Genetic Predisposition to Disease
,
Tobacco Smoking
,
Pharyngeal Neoplasms
,
Polymorphism, Genetic
,
Esophageal Neoplasms
,
Risk Factors
,
Alcohol Drinking
,
Papillomavirus Infections
,
ADH1B Protein, Human
pp.1790-1797
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2021086309
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咽頭・食道癌は男性や高齢者に多い癌であり、2017年全国がん罹患率は約5%を占める。罹患数は継続して増えており、高齢化に伴って今後も増加することが予想される。咽頭・食道癌のリスク因子として、本邦では飲酒、喫煙、野菜・果物の摂取不足、口腔衛生不良などがあげられる。これらのリスク因子は、他の癌のリスク因子に比べて改善可能なものが多く、禁酒や禁煙指導などによる予防やハイリスク者の同定が重要となる。特に飲酒とALDH2遺伝子多型、飲酒と喫煙は相互作用をもって咽頭・食道癌のリスクを上昇させるため、これらの情報を確認することはハイリスク群の絞り込みにつながる。また、ALDH2ヘテロ欠損型・ADH1Bホモ低活性型の遺伝子を保有する大酒家では、食道粘膜に多発ヨード不染帯を認めることがあるため、ヨード色素内視鏡はハイリスク群の絞り込みに有用である。ハイリスク群に対する効率的な上部消化管内視鏡検査は咽頭・食道癌の早期発見に貢献する。
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