特集 咽喉頭・頸部食道癌を見逃すな-拾い上げから治療まで
[総論]咽喉頭・頸部食道の組織学と咽喉頭・頸部食道癌の病理
根本 哲生
1
,
小原 淳
,
密田 亜希
,
矢持 叔子
,
澁谷 和俊
1昭和大学横浜市北部病院 臨床病理診断科
キーワード:
咽頭腫瘍
,
下咽頭腫瘍
,
喉頭腫瘍
,
食道腫瘍
,
中咽頭腫瘍
,
上咽頭癌
Keyword:
Laryngeal Neoplasms
,
Hypopharyngeal Neoplasms
,
Oropharyngeal Neoplasms
,
Pharyngeal Neoplasms
,
Nasopharyngeal Carcinoma
,
Esophageal Neoplasms
pp.1781-1789
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2021086308
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咽頭は上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けられる。粘膜は食道と同様に非角化重層扁平上皮に覆われる。上咽頭・中咽頭には扁桃のリンパ装置が存在する。一方、喉頭粘膜は気道の一部として大部分が多列線毛上皮に覆われるが、喉頭蓋の一部と声帯部分は重層扁平上皮に覆われている。発生する悪性腫瘍としては、いずれの領域も扁平上皮癌が最も多い。上咽頭にはリンパ球浸潤を伴う低分化な扁平上皮癌である鼻咽頭癌が発生し、ほとんどの症例にEpstein-Barr virus感染が証明される。中咽頭の癌には高リスクヒトパピローマウイルス(HPV)陽性の癌が含まれ、HPV陰性癌とは区別して扱うべきである。中・下咽頭と食道の扁平上皮癌とは内視鏡で認識される腫瘍血管パターンを含め、類似した形態を呈する。咽頭は食道と異なり粘膜筋板が存在しない。咽頭において上皮を越える癌は、食道の粘膜下層癌との区別を図るため「上皮下層癌」とする。
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