特集 酸分泌抑制薬の功罪
小腸・大腸 酸分泌抑制薬とClostridioides(Clostridium)difficile感染症
徳永 健吾
1
,
加藤 はる
,
大崎 敬子
,
三好 佐和子
,
井田 陽介
,
大野 亜希子
,
久松 理一
,
岡本 晋
1杏林大学 医学部総合医療学
キーワード:
盲係蹄症候群
,
Clostridium difficile
,
クロストリジウム感染症
,
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
加齢
,
抗細菌剤
,
再発
,
多剤併用療法
,
Proton Pump Inhibitors
,
除菌療法
,
消化管微生物叢
,
Dysbiosis
,
Vonoprazan
Keyword:
Blind Loop Syndrome
,
Anti-Bacterial Agents
,
Drug Therapy, Combination
,
Clostridioides difficile
,
Gastrointestinal Microbiome
,
Aging
,
Clostridium Infections
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Recurrence
,
Dysbiosis
,
Proton Pump Inhibitors
,
1-(5-(2-fluorophenyl)-1-(pyridin-3-ylsulfonyl)-1H-pyrrol-3-yl)-N-methylmethanamine
pp.1196-1200
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376641
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酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の問題点はいくつか指摘されているが、PPI関連腸管感染症の一つにClostridioides(Clostridium)difficile感染症(CDI)がある。CDIは腸内細菌叢の攪乱された状態(dysbiosis)で発症するが、その発症に抗菌薬や酸分泌抑制薬の投与、高齢者、基礎疾患などが関与する。PPI内服によるCDI発症機序は明らかではないが、最近の検討ではdysbiosisを引き起こすことによると推測される。カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)内服によるCDI発症に関しては、報告がないため実態は不明である。しかしP-CABであるボノプラザンを用いたH.pylori除菌療法後に劇症CDIを発症し死亡した例や全結腸切除例が報告され、またボノプラザンにより、CDI確立に重要な役割を果たす腸内細菌叢の変化のみられたことが報告されている。酸分泌抑制薬はCDI発症リスクの高い薬剤であるため、特に高齢者へのPPI投与や抗菌薬を併用するH.pylori除菌療法ではCDI発症の可能性を常に念頭におくべきである。
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